気持ち良く寝ていたのに、急にこむら返りが起こって目が覚めた経験はありませんか？なぜ、寝ているときにこむら返りが起こるのか、不思議に思う方も中にはいらっしゃるかもしれません。

多くの人が経験するこむら返りですが、繰り返す場合は、病気が原因の可能性があります。そこで今回は、こむら返りが起こる原因やメカニズム、予防や漢方薬を使った治し方について解説します。

 

こむら返りとは？

こむら返りをひとことで言うと、筋肉が異常に収縮して、けいれんを起こすことです。寝ているときや運動中に起こりやすく、強い痛みや筋肉のつりが生じますが、多くの場合は一過性で、数分程度でおさまります。こむらがえりが起きたときは、応急処置として患部を伸ばすのが良いとされています。

こむら返りの「こむら」の意味

こむらがえりの「こむら」とは、ふくらはぎのことです。名前のとおり、こむら返りは主にふくらはぎで起こりますが、手足の指や太もも、土踏まず、肩、背中、腰などの筋肉で起こることもあります。

こむら返りが起こるメカニズム

こむら返りが起こる直接的な原因は、無理な動きによる筋肉の過剰な伸びや収縮です。筋肉や、骨に筋肉を付着させる腱 には伸び過ぎや縮み過ぎによる損傷を防ぐために、センサーのようなものが付いています。 筋肉の中にあるセンサーは「筋紡錘（きんぼうすい）」、腱と筋肉の境目にあるセンサーは「腱紡錘（けんぼうすい）」といいます。ふたつのセンサーのうち、主に腱紡錘の機能が低下したり、正常に働かなかったりした場合にこむら返りが起こると考えられています。

 

こむら返りの主な原因

こむら返りが起こる4つの原因をご紹介します。

原因【1】ミネラルバランスの乱れ

マグネシウムやカルシウムの不足を中心としたミネラルバランスの乱れが、こむら返りの原因になる可能性があります。これらのミネラルバランスが乱れると、腱紡錘が筋肉の伸びや収縮で異常を感知しても、神経の情報伝達がうまくいかなくなります。 たくさん運動をして汗をかいた日は、ミネラルの排出と筋肉疲労によって、寝ているときにこむら返りが起こりやすくなります。また、ミネラル不足になりやすい妊娠中も注意が必要です。

原因【2】水分不足

発汗による脱水をはじめとした水分不足は、腱紡錘の機能低下につながりやすいため、こむら返りの原因になることがあります。寝ているときは、冬場でもコップ約1杯分の水分が呼吸などで発散されるため、水分不足によるこむら返りが起こりやすくなります。

原因【3】冷え・血行不良

冷えによって血流が悪くなったりすると、腱紡錘のセンサーが正常に働かなくなり、こむら返りの原因になることがあります。

原因【4】加齢

歳を重ねると腱紡錘のセンサー機能が衰えるため、こむら返りが起こりやすくなります。

 

こむら返りを予防するには？

こむら返りの予防に役立つ身近な方法をご紹介します。

予防【1】ミネラルを含む食べ物を摂取する

腱紡錘の機能に影響を与えるミネラルを含む食べ物を摂取しましょう。マグネシウム を多く含む食べ物には、ひじき、ほうれん草、アーモンド、玄米などがあります。カルシウム を多く含む食べ物は、牛乳、乳製品（チーズ、ヨーグルトなど）、骨ごと食べられる小魚、豆腐、納豆などです。カリウム はさつまいも、さといも、ブロッコリー、バナナ、豚ヒレ肉、鶏むね肉などの食べ物に多く含まれています。

予防【2】足の冷えを防ぐ

靴下や足元を締め付けずに温めてくれるレッグウォーマーを使って、足の冷えを防ぎましょう。寝る前に足湯で温めるのも効果的です。

予防【3】運動不足を解消する

筋肉量の減少が加齢によるこむら返りにつながるので、ウォーキングを始めるなど、日々の運動を心がけましょう。アキレス腱伸ばしや、足首を前後に倒すストレッチも効果的です。こむら返りが起こりやすい就寝前のほか、運動の前後にもストレッチを取り入れると良いでしょう。

そのほかの予防

起床時や就寝前、運動中、食事中を中心にこまめな水分補給を心がけましょう。また、長時間同じ姿勢を続けていると血行不良からのこむら返りを招きやすいので注意が必要です。仕事などで立ちっぱなしや座りっぱなしになりやすい方は、スキマ時間にストレッチをしたり、軽く体を動かしたりすると良いでしょう。

 

漢方薬を使ったこむら返りの治し方

こむら返りには「芍薬甘草湯（しゃくやくかんぞうとう）」という漢方薬が効果を発揮します。芍薬と甘草の組み合わせが筋肉のけいれんを抑制する漢方薬で、体力を問わず使用可能です。

芍薬甘草湯の飲み方

即効性がある漢方薬なので、こむら返りが起こったときにすぐ服用するのが望ましいとされています。寝ているときにこむら返りが起こりやすい方は、枕元に置いておくと良いでしょう。

芍薬甘草湯の注意点

以前に漢方薬を飲んでむくみを感じたことのある方や、心臓に持病のある方は服用できません。また、病院で治療を受けている方や腎臓に持病のある方、高血圧の方、高齢の方は事前に医師や薬剤師にご相談ください。当院の漢方内科にも、ぜひご相談ください。

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繰り返すこむら返りは病気の可能性も

こむら返りを繰り返す場合は、病気が原因という可能性があります。頻繁にこむら返りになる（筋肉がつる）ときは、糖尿病や閉塞性動脈硬化症などが潜んでいるおそれがあります。また、中高年の場合は動脈硬化や持病の薬の影響が、こむら返りの原因になっていることがあります。

こむら返りを繰り返す方は医療機関へ相談を

激しい運動をしたり、いつもより多く汗をかいたりした覚えがないのに、こむら返りを繰り返す方は、医療機関を受診することをおすすめします。当院の漢方内科では、病気の可能性を考慮して、西洋医学的診断治療と漢方医学的診断治療を平行して行うことが可能です。患者さんのお困りごとに耳を傾け、幅広く対応いたしますので、豊島医院へお気軽にお越しください。