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RSウイルスの症状・感染経路、潜伏期間・流行のピークは?大人も重症化に注意

2023年12月19日

RSウイルス感染症といえば、小さな子どもがかかるものというイメージをもつ方がいらっしゃるかもしれません。しかし、最近では大人の感染者も多く確認されており、重症化するケースがあることも分かってきました。

そこで今回は、RSウイルス感染症の症状や流行ピークを迎える時期、感染経路や潜伏期間、予防について解説します。

 

RSウイルス感染症とは?

RSウイルス感染症とは、RSウイルスの感染による呼吸器の感染症です。生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の子どもが少なくとも1度は感染するとされています。 さらに、近年では大人の感染者も多いことが分かってきており、とりわけ高齢者への感染が注目されています。年間では健常高齢者の5%弱、基礎疾患保有者の6%強がRSウイルスに感染するとされています。

RSウイルス感染のピークはいつ頃?

これまでRSウイルスの感染者は夏から増加傾向となり、秋冬(11〜1月)に流行のピークがみられていました。しかし、2021年以降は春から初夏に継続した増加がみられ、夏にピークがみられています。 秋田県内での流行状況は、秋田県感染症情報センターのホームページからご確認いただけます。

RSウイルスの感染経路

RSウイルスの主な感染経路は接触感染と飛沫感染であり、空気感染はしないと考えられています。接触感染とは、感染者との直接の接触や、感染者が触れた物品(ドアノブ、手すり、おもちゃ、コップなど)を触ったり、なめたりすることによる感染です。飛沫感染は、RSウイルスに感染している人の咳やくしゃみなどで飛び散るしぶきを吸い込むことによる感染を指します。

 

RSウイルスの潜伏期間~症状のピークまで

RSウイルスの潜伏期間は2〜8日、典型的には4〜6日とされています。また、症状はすべてが一度にあらわれるのではなく段階的にあらわれるのが特徴です。ここでは、RSウイルスの初期症状から順を追って解説します。

RSウイルスの初期症状は発熱

RSウイルス感染症において、発熱は初期症状として普通にみられます。発熱には個人差がありますが、38~39℃と高い熱が出ることや、熱が上がったり下がったりを繰り返すことがあります。発熱や鼻汁、咳などの上気道炎症状は、数日間続きます。

重くなると咳が続き、細気管支炎や肺炎へと進展

RSウイルス感染症の多くは軽症で自然軽快しますが、咳が悪化すると細気管支炎による喘鳴や陥没呼吸、呼吸困難といった下気道疾患への進展がみられる場合があります。 乳幼児における肺炎の約50%、細気管支炎の50〜90%はRSウイルス感染症が原因であるという報告もされています。お子さんが感染した際は重症化を見逃さないよう、呼吸の様子などを観察することが大切です。

RSウイルスは何日で治る?

RSウイルスの罹病期間は、通常7〜12日程度です。ただし、症状のあらわれ方や良くなるまでの経過には個人差があります。また、RSウイルスは再感染しやすいため症状から回復した後も注意が必要です。

 

大人のRSウイルスも重症化に注意

先述の通り、大人もRSウイルスに感染することがありますが、通常は風邪のような症状があらわれるのみです。しかし、RSウイルスに感染した小児を看護する保護者は、気管支炎やインフルエンザのような症状をきたし、重症になることがあります。これは、初感染児より排出される大量のウイルスに暴露されるためだと考えられています。 RSウイルスは家族内で感染が広がりやすく、乳幼児やより年長の小児のいる家庭では、流行期間中に家族の44%が感染したという報告もあります。大人であっても感染や重症化の予防を心がけることが大切です。

高齢者のRSウイルス感染症の重症化について

高齢者がRSウイルス感染症で入院が必要になった場合、発熱や咳のほか、痰、喘鳴(ヒューヒュー、ゼーゼーと音がする呼吸)、呼吸困難などを合併することが多いとされています。 60歳以上の成人においては、RSウイルス感染症によって年間63,000人の入院と4,500人の院内死亡が推定されています。また、RSウイルス感染症で入院治療が必要になった高齢者の致死率は、インフルエンザと同等であるともいわれています。

60歳以上の成人のRSウイルスワクチンが発売

高齢者はRSウイルス感染症が重症化しやすい背景を受け、60歳以上の成人を対象とする感染予防を目的とした、RSウイルスワクチン(アレックスビー(R))が、2024年1月15日より発売されることとなりました。当院でも接種を行う予定ですので、詳細が決まり次第、お知らせいたします。

 

RSウイルスで病院を受診する目安は?

RSウイルスには特効薬がないので、治療は症状に応じた対症療法が基本です。 子どもの場合、機嫌がよく、つらそうでなければ、慌てずに様子を見ながらかかりつけ医に相談すると良いでしょう。高熱が続く、呼吸が苦しそう、ぐったりしている、痰がつまる、食事や水分摂取ができないときは、早めに医療機関を受診してください。

RSウイルスの予防も心がけましょう

RSウイルス予防のために、日常的に触れるドアノブや手すりなどをこまめにアルコールや塩素系の消毒剤などで消毒しましょう。また、流水・石鹸による手洗いやアルコール製剤で手指を清潔に保つことも大切です。咳や鼻汁が出るときはマスクを着用して、飛沫感染対策をしましょう。 また当院では、ご依頼があればハイリスク乳幼児を対象に重症化の抑制を目的として、パリビズマブ(シナジス(R))の接種を、他の予防接種と同様に予約の上で行います。

当院にもご相談ください

RSウイルスに感染した際の出席停止期間や登園届について、一律の決まりはありません。登園や投稿を再開する場合は、かかりつけ医や学校・幼稚園に相談しましょう。大人が感染した場合も出勤停止の決まりはありませんが、周囲に広げないためにも無理は禁物です。 RSウイルスの症状にお困りの方や、登校や出勤のタイミングについてお悩みの方は当院までお気軽にご相談ください。