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便秘に使われる漢方薬とは?病院で自分に合ったものを処方してもらいましょう

2023年9月4日

「快便」は、健康のバロメーターのひとつだと昔から言われています。あなたの最近のお通じはいかがでしょうか?

 

医学的には「排便回数や排便量が減少して、便を十分量を排出できない状態」や、「快適に便を排出できない状態」を便秘といいます。

 

便秘や便秘にともなう症状を改善する方法のひとつとして、漢方薬が期待できます。そこで今回は、便秘に用いられる漢方薬や、当院の漢方内科で行う便秘治療についてご紹介します。

 

便秘の原因

便秘の原因は多岐にわたります。食事面では、食事量が少なかったり、食物繊維の摂取が足りなかったりすると便秘になることがあります。運動不足は、大腸の動きや排便時に必要な腹筋の力を弱めることから、便秘の原因のひとつと考えられています。

 

このほか、精神的なストレスが溜まっている、朝に排便する時間がつくれない、排便したくてもトイレを我慢する癖がある場合も便秘につながります。

 

生理前に便秘になりやすい女性は、女性ホルモンの一種である黄体ホルモン[宮本1] の影響が考えられます。黄体ホルモンは排卵直後から分泌量が増える特徴があり、腸の蠕動運動を抑制する作用を持っています。

 

漢方医学から見た便秘の原因

漢方医学には、不調の原因を探る「気・血・水」という3つの要素があります。3つの要素はどれかひとつでも不足したり、滞ったりすると、不調や病気の原因になると考えられています。 便秘の場合は、「水」の不足、ストレスや緊張による「気」の異常、血が滞った状態である「お血」などが原因になると考えられています。

便秘に効果的な漢方薬5種類

 

便秘に用いる漢方薬は複数あり、体力や排便の状態、便秘にともなう諸症状によって、おすすめの処方が異なります。ここでは、便秘に効果が期待できる漢方薬5種類それぞれの特徴をご紹介します。

漢方薬【1】大黄甘草湯

大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)は、体力にかかわらず使用できる漢方薬です。便秘や、便秘にともなう頭重や腹部膨満感、腸内異常醗酵、痔、ふきでもの(にきび)、のぼせなどの症状緩和に用いられます。

漢方薬【2】桂枝加芍薬大黄湯

桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)は、比較的体力がなく、腹部膨満し、残便感がある方に用いられることが多い漢方薬です。腸の緊張を緩和することで腹痛をやわらげ、便通を良くします。

漢方薬【3】麻子仁丸

麻子仁丸(ましにんがん)は、高齢者や病後など体力が中等度以下で、主にコロコロとした硬い便が出る方に用いられる漢方薬です。配合されている生薬のひとつである麻子仁は、植物の種で油分を多く含み、腸に潤いを与えてスムーズな排便を促します。

漢方薬【4】桃核承気湯

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)は、体力中等度以上で、主にのぼせてイライラする方の便秘に用いられる漢方薬です。血のめぐりを良くすると共に、便の排出を促します。生理不順や生理による不安、イライラを感じる方の便秘にも用いられることがあります。

漢方薬【5】柴胡加竜骨牡蛎湯

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)は、体力中等度以上で、イライラや不眠など気の異常がある方の便秘に用いられる漢方薬です。また、高血圧にともなう不安や不眠、動悸がある方や、わき腹からみぞおちにかけて何となく重苦しい感じがある方にも適しています。

 

便秘の改善には生活習慣の見直しも

便秘の改善には、生活習慣の見直しも大切です。食生活や運動を中心に、見直しポイントをご紹介します。

【食生活】

体内の水分不足は便を固くする原因になるので、こまめな水分補給を心がけましょう。とりわけ、朝起きがけに水を飲むと、腸を刺激して便意を促すのでおすすめです。朝食をきちんと食べることも、腸を刺激する働きが期待できます。 また、不足しがちな食物繊維を含む海藻類や野菜類、きのこ類の摂取も心がけましょう。善玉菌を含むヨーグルトや納豆、味噌などには、腸内環境を整える働きが期待できます。

【運動】

軽い運動で構いませんので、毎日、体を動かすことを心がけましょう。筋肉を動かすことは、腸への刺激につながります。エレベーターを使わず階段を使う、仕事の合間にストレッチをするなど、生活のなかに適度な運動を取り入れましょう。

【その他の生活習慣】

便意がなくても、朝食後にトイレへ行く習慣をつけましょう。また、冷えで胃腸の働きが衰えると便秘につながるので、半身浴や薄着を避けるなどして体を温めることも有効です。ストレスを感じている方は、日ごろから趣味を楽しんだり、リフレッシュしたりできる時間をつくりましょう。

 

便秘にお悩みの方は当院の漢方内科へ

漢方医学における便秘治療は、単に便通を良くするだけでなく、自然に近い便意を促すことを重視しています。また、消化器官の症状を改善する点にとどまらず、全身の状態を改善することにつながると考えられているのも特徴です。 当院の漢方内科は、西洋医学的診断治療と漢方医学的診断治療を平行して行うことで、便秘の治療を進めてまいります。処方する漢方薬は顆粒タイプのエキス剤で、飲みやすさや携帯性にすぐれています。また、必要に応じて西洋薬とも組み合わせて処方いたします。いずれも保険適応があります。 「便秘は病気のサインだった」という場合もありますので、自己判断をせず、医療機関で原因を特定して、自分に合った治療を受けることが大切です。 当院では患者さんひとりひとりのお悩みや、心身にあらわれた不調を重視した診療を行いますので、便秘にお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。