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脂肪肝を改善する食事と運動のポイント7つご紹介

2023年6月9日

脂肪肝とは、肝臓に中性脂肪がたまった状態のことです。メタボリックシンドロームと合併しやすいほか、肝硬変や肝臓の機能悪化などを引き起こすことがあります。

国内の脂肪肝の罹患は2千万人以上と言われており、最も頻度の高い肝疾患になっています。しかし、生活習慣が原因の脂肪肝は、生活習慣を改善すれば治る可能性があります。

そこで今回は、脂肪肝を改善するための食事と運動のポイントについて解説します。

脂肪肝の原因・症状について

脂肪肝は原因によって分類されています。ここでは脂肪肝の主な原因と症状について解説します。

脂肪肝の原因

摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ると、肝臓に中性脂肪がたまってしまいます。そのため、脂肪肝の主な原因は、お酒の飲み過ぎと食べ過ぎです。

お酒で脂肪肝になるのは、アルコールが分解されるときに中性脂肪が合成され、肝臓に溜まりやすいからです。お酒の飲み過ぎによる脂肪肝は「アルコール性脂肪肝」といいます。

これに対し、お酒をあまり飲まず、主に食べ過ぎによって脂肪肝になった場合は「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」といいます。NAFLDのうち8~9割は、脂肪肝のまま病気が進行することはありません。

しかし、1~2割の方は非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に進行する可能性があります。NASHは、放置すると肝硬変や肝細胞がんへと進行することがあるため、早期発見が重要な病気として注目されています。

ほかにも、脂肪肝の原因として次のものが挙げられます。

・肥満…肝臓での脂肪酸の燃焼が悪くなることがあります。
・無理なダイエット…低栄養性脂肪肝になることがあります。
・遺伝的要因…肝臓への脂肪のたまりやすさは体質によって異なります。

脂肪肝の症状

肝臓は「沈黙の臓器」といわれており、初期の脂肪肝ではほとんど症状がみられません。中には脂肪肝によって疲れやすい、肩がこる、だるいと感じる方もいます。しかし、これらは肝臓の病気特有の症状ではないため、脂肪肝が原因だと自分で判断することは難しいでしょう。

また、早期発見が重要なNASHも、かなり病気が進行しないと自覚症状はあらわれません。NASHが肝硬変に進行した場合は、足のむくみや腹部膨満感(お腹の張り)、黄疸(皮膚が黄色くなる)などがあらわれる場合があります。

いずれにしても自己判断は難しいので、気になる方は医師へ相談することをおすすめします。

脂肪肝の改善策~食事編~

肝臓についた脂肪は、内臓脂肪や皮下脂肪と比べて落ちやすいとされています。脂肪肝を改善するために、まずは食生活を見直しましょう。ここでは5つの改善ポイントをご紹介します。

改善策【1】適度な食事量を心がける

1日に必要な摂取エネルギーの目安は「標準体重×25~30kcal」で求められます。この数値を目安にして、適度な食事量を心がけましょう。なお、標準体重は「身長(m)×身長(m)×22」で求められます。一例として、身長が170cmの方の標準体重と摂取エネルギーの目安を求めてみましょう。

・標準体重…1.7(m)×1.7(m)×22=約63.5kg
・摂取エネルギーの目安…63.5×25=約1,588kcal(30をかけた場合は約1,905kcal)

適切な摂取エネルギーの範囲内で食事を楽しむには、蒸す、網焼きにするなどして調理法を工夫して余分な脂をカットといいでしょう。

改善策【2】食事は野菜から食べる

食事は野菜入りの副菜や汁物から食べ始め、次に肉・魚類の主菜、主食(炭水化物)の順で食べましょう。野菜を最初に食べるメリットはふたつあります。

ひとつは、野菜を先に食べて胃の中をある程度満たすと、食べ過ぎを防止できることです。もうひとつのメリットは、食後の血糖値をおだやかにすることです。食後に血糖が上昇すると、インスリンというホルモンが分泌され、余った糖を中性脂肪として蓄える原因となります。

あわせて、野菜は1日350g以上摂ることも意識しましょう。次のような工夫で、無理なくたくさんの野菜が食べられます。

・毎食、野菜入りの副菜をメニューに取り入れる
・主菜の付け合わせに生野菜や温野菜のサラダを食べる
・野菜をたっぷり入れた味噌汁やスープを食べる

改善策【3】果物や主食(ごはん、麺類など)は控えめに

日常的に糖を摂り過ぎていると、脂肪肝につながるおそれがあります。糖が含まれているごはんやパン、麺類などは控えめに摂りましょう。また、果糖は吸収がよく、肝臓で中性脂肪になりやすいため、果物の食べ過ぎにも注意が必要です。

改善策【4】お酒は禁酒または節酒を心がける

お酒の飲み過ぎで脂肪肝になっている方は、禁酒や節酒を心がけましょう。脂肪肝の段階なら、2~4週間の禁酒で改善する可能性があります。

節酒を始める際は、厚生労働省が定める「1日平均純アルコールで約20g程度」の節度ある適度な飲酒量を目安にしましょう。純アルコールで約20gは、ビールの中瓶1本に相当します。そのほかのお酒の量は次のとおりです。

・日本酒(15度)…1合(約180ml)
・焼酎(25度)…0.6合(約110ml)
・ワイン(14度)…4分の1本(約180ml)
・缶チューハイ(5度)…1.5缶(約520ml)

女性や飲酒で顔が赤くなりやすい方は、より少なめの量が推奨されています。

改善策【5】お茶(緑茶)を飲む

緑茶に含まれるカテキンには。肝臓で発生する活性酸素を消す働きがあると注目されています。活性酸素はストレスや紫外線などから発生し、NASHの発症につながるおそれがあるので、緑茶を飲むことも脂肪肝対策に役立つでしょう。

脂肪肝の改善策~運動編~

脂肪肝を改善する食事と運動のポイント7つご紹介

運動は消費エネルギーを増やし、体内の中性脂肪を消費するのに役立ちます。運動不足の方は1日5~10分でもいいので、いつもより多く体を動かすようにしましょう。ここでは
脂肪肝の改善策として、ふたつのポイントをご紹介します。

改善策【1】筋トレをする

全身の糖質の約7割は筋肉(骨格筋)で消費されるといわれており、筋肉を増やすことは代謝を良くすることにつながります。筋肉を増やすには、スクワットなどの筋トレを取り入れましょう。

簡単にできる筋トレとして、片足立ちもおすすめです。床から5~10cm程度足を上げて1分間キープする動作を左右で行いましょう。バランスをとるのが難しい場合は、椅子や壁などに軽く手をついても構いません。

改善策【2】週3~4日、1日30分のウォーキングをする

『NAFLD/NASH診療ガイドライン(2020)』では、有酸素運動によって脂肪肝化が改善することが報告されています。主に肥満を合併した非アルコール性脂肪性肝疾患には効果的です。運動時間は30~60分、頻度は週3~4回が目安となります。

身近な有酸素運動のひとつがウォーキングです。散歩を習慣にしたり、買い物や通勤時の移動で歩いたりなどして、定期的なウォーキングを始めましょう。

脂肪肝の改善・治療は医師にご相談を

初期の脂肪肝は自覚症状が乏しく、進行に気づかない可能性があります。健康診断の結果が気になる方や、医師から「脂肪肝の疑いがあります」と言われた方は、ぜひ一度、医療機関を受診しましょう。

当院でも脂肪肝の診療を受けていただくことが可能です。NASHを発症していないか注意深く確認しながら、食事療法や運動療法などアドバイスを行ってまいります。どうぞお気軽に、豊島医院へお越しください。提携先の仁井田ゆいクリニックでの腹部エコー検査や消化器病専門医による診察も受けることができます。